野球で例えるなら、8回表の 猛攻撃 。
麻衣子さんに対し疑心暗鬼になった事を、心からお詫びする。
麻衣子さん。
あなたは本当に素晴らしいシンガーソングライターだ。
17時30分の開場時間。
列を作ったお客さんは100人居なかった。
席に着き、開演時間が迫っても空席が目立った。
オレは16列目。また中央に近かった。
後ろの席は殆ど空いている。
HULIC HALL TOKYO は、満席で900人程収容できるそうな。
300~400人分空いていたと思う。
もうね…「麻衣子さん。これ…ヤバくない?」って、勝手に思ってた。
ライブが始まっても双方のノリが悪い。 気まずい。
まるでクラッシックのコンサートみたいに静まり返っている。
拍手に気持ちが籠ってない。
特有の高揚感もノリも皆無。「あぁ…」って、正直思ってた。
オレの両隣りは空席。その左隣に座っていた女性。
中休み後は、戻ってこなかった。
テンションだだ下がりのオレ。何か居たたまれなくなった。
間違いなく、ニューアルバムの反応は悪い。
オレの予想通りだった。
昔からの麻衣子ファンは、きっと受け入れないって…。
今回のライブは、MC が多かった。
各楽曲に対し彼女が解説をしなければならないって事。
誰が作詞をし、どんなエピソードがあるのか。それらをね。
事細かに話さないと理解してもらえないって彼女は知ってたんだよ。
反応が良くないって事も…。
この流れのまま終焉になったら、殆どのお客さんは落胆しただろう。
だが、そんな不安を払拭すべく麻衣子さんは不穏な流れを一気に変えた。
昔からのファンなら、即テンション爆上げの楽曲を披露。起死回生の1撃!
其処から流れは激変した。
麻衣子さんは勿論、お客さんのテンション急上昇。
オレですら会場の空気が変わったのが分かった。
終焉は、麻衣子さんの描いた通りになった。
オレが好きな楽曲がエンディングに使われ、更にアカペラへ繋がった。
また落涙したよ。両隣りが空席で助かった。
麻衣子さん…。
会場に居た殆どのお客さんは、自身があなたに愛されているのを知っている。
1人ひとりと血を通わせるようとしているのも。
どれほど互いに思い合っているのかもね。
これからどの道を選んでも皆尊重してくれるだろう。
でも解った筈だ。皆があなたに何を求めているかを…。
それに応えなければならないと思うよ。
あなたを異性として意識してこなかったこのオレが!
あなた自身に初めて心を動かされた。
最後に全員に感謝の気持ちを伝え、皆の顔を覚えようとしたね。
全部!伝わってるよ。皆判ってる。
オレは両手を広げて思いを受け止めたよ。抱きしめたよ。
前回同様、今夜の事を生涯忘れない。
【君と知った気持ちすべてが、大事な宝物】
あの表情でこう言われたら、老若男女問わず全員が麻衣子さんの味方だ。