浪人と黒船

“人生” と言う名の大航海

訃報。

『浪人さんは、酒強いなぁ。買った酒があるんだけど、飲んでくれんか?』

飲み会の席で、芋焼酎を飲んでた時に言われた。

オレさ、本当に顔色変わらないんだよ。目が充血する事もない。

ギタリスト氏と飲んでた時も、まじまじと言われたな。『本当に同じ酒飲んでるとは思えん!』と。

 

 

 

 

元の会社で40年以上勤務していた人。オレが入社した際に面倒みてくれた。

仮に “辰五郎さん” としよう。所謂…熟練の人でね。正直取っ付きにくいところはあった。

だが、優しくて面白いおじさんだった。

貰った酒は、カクテルベースにするやつ? オレもよく知らないんだ。

アルコール度数66%って、ウオッカかよ。(笑)

酒のラベルに火気厳禁って書いてあるのは初めて見た。

北陸に行った際、道の駅で見つけて購入したそうだ。

これが…遺品になった。

 

この人が急遽退社したのは、オレが辞める数か月前だった。

体調が悪いから、病院行った。そしたら “末期” だったそうだ。

仕事は普通にしてたんだけどね。

年金貰ってるから、週3日の午前中勤務だった。

「最近…しんどいんだ」と苦笑いしてたのも覚えている。

 

 

今日トラックを走らせた距離は、たったの78キロ。

だが…複雑な内容でね。その指示を上手く理解できなくて配車係を苛つかせた。

業務上のミスはないが、スムーズに出来ないのは実に不快だ。そんな自分に苛つきムカムカしてた。

会社出る頃には脱力しそうだったよ。また肩凝り酷いし…。

帰宅してギタリスト氏からメールが届いてたのに気付いた。

内容は訃報。ある程度覚悟はしていたが、発覚から半年だった。

また連絡するとの事だったが、明晩がお通夜になるだろう。

仕事も段取りできるので、参列する予定。

 

人の生きざまは、それぞれだ。病に倒れるのも仕方ないと思う。

オレが同じ診断されたら、延命治療は拒否する。それが天命だと受け入れる。

身の回りを片付ける時間と体力だけ残ればいい。

オレは後世に何も残さない。 痕跡すら、残したくない。

 

 

 

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“辰五郎さん” の、ご冥福をお祈りいたします。