浪人と黒船

“人生” と言う名の大航海

嬉しかったこと。

10月。3度目の能登訪問時に撮影。…多分、ランプの宿へ向かっている時だったと思う。

道路にできた地割れ。言うまでもなく、震災で発生したものだ。見た目より落差がある。

露呈した地面が草生してるのは、月日が経過している証拠でもある。

この程度の状態に目を向けていられる程、現地の道路管理者に余裕はない。

 

 

 

 

 

 

昨日の仕事は、地場を何度も行き来する業務。オレら運転手は、これを “横持ち” と言う。

荷物を積んで、3~40分走って、荷物を降ろす。単純だが、めんどくさい。

これを1日に何度もやってると、やはり疲れてくる。

帰宅して、安売りしてたお惣菜で晩ご飯。1人暮らしあるあるだ。(笑)

シャワー浴びて、18時なのに寝る事しか考えてなかった。

最近は、とにかく横になりたい願望が強すぎる。

 

そんな時だった。スマホが鳴り始めた。見憶えない番号…。

先日から連続で続いた迷惑電話。正直「またかよ」と思った。

それは良い意味で期待外れだった。

『もしもし?浪人さんですか? 〇〇〇です』

ランプの宿14代目ご当主の三女、本人だった。

 

 

過去にも紹介した画像。右側の女性。左側の女性はベテランスタッフさん。

彼女とは直接会って話しているし、以前も電話で話した事がある。その時は、お店からの電話だったんだよ。

オレ…完全に挙動不審。相手が話してるのにそれを遮って「この電話は君のかな?番号表示されてるけど」と告げる。

『あ…私のです』サラリと言われた。いや、イカンだろ。

若い女性が、こんなオッサンに個人情報晒してしまうのは危険だ。

一応そういう旨の話はしたんだが、全然大丈夫だと流されてしまった。

 

『贈り物ありがとうございました。凄く美味しかったです!』

贈り物ではない。送り物だ。

先週仕事の合間に寄ったコンビニの敷地内で露店やってるオバチャンがいた。

会社から車で30分くらいの場所。この辺りは名産品があってね。

具体的に書くと身元バレするんで、品名は伏せる。それを送ったんだ。

「○○か…。あ、ランプの宿へ送ってあげよう」と突然閃き、速攻購入。

翌日が長距離運行だったから、帰宅してから慌てて梱包して宅急便の営業所へ。

メッセージ書いておいたのに、それを同梱してなかったのに気付いたのは後の事だ。

今更どうにもならんし、連絡するのも面倒なので、そのまま放置。

「名前は覚えてくれてるだろうから、大丈夫だろ」と勝手に決めつけ、寝た。

その翌日は愛媛県までの運行だったんだよ。

 

 

『私とお父さんが大好きで、凄く嬉しかったです。皆で食べました。まだ残ってるけど…』

『あ、お姉ちゃんも帰ってきますよ』

お姉ちゃん。(大学生) ↓ 右側は、女将さんであるお母さん。

 

 

年齢から考えると、お礼の仕方がハイレベル。

言葉の選択は年相応なんだけど、もの凄く気持ちが籠っている。

彼女の立場や環境を考えれば当然の事なのかもしれないが。

でもね、それが素直に嬉しかった。元気な声を聴けたのも…。

 

先日の地震の事も、宿の被害も尋ねてみた。(例の土砂崩れ)

『う~ん…土砂は少しずつ崩れてます。建物の被害は大きくなってないですけど』

オレが最も気にしている事だ。言葉に困った。

連日被災地を気にしている事や、X の投稿などから能登の情報を確認している事も伝えた。

これに関してはオレのブログ読んでくれてる人なら、ご理解頂けるだろう。

『浪人さんが能登の事を気にかけてくれるだけで嬉しいです。被災地は苦労してる人が沢山います。

私たち家族は全員無事です。それだけでも、良かったと思ってます』

 

この言葉は、オレの胸を熱くした。

能登の被災地は豪雨災害で追い討ちをかけられた。多くの人が心折られただろう。

それを知っている部外者のオレにとって、彼女が自らその言葉を使うのは説得力があった。

この時だけは、若い女性と話しているというプレッシャーも消えた。

今月中に、また訪問しようと考えている話をした。『本当ですか!?』と驚かれた。

地震…落ち着いたと思ったら、豪雨災害…。そしてまた地震

『お客さんが…いや、書かずともお分かりだろう。

であるならば、やはり行かねばならない。オレ1人行っても何ら変わらないんだが。

 

「被災地から離れた場所に住んでるオッサンが1人。皆さんの事をずっと心配してると伝えてください」

そう話したら、お礼を言ってくれた。

 

 

 

大河の流れも、水滴から。

オレはこの言葉が持つ重みを思い知らされてきた。何度も何度も諦めかけた。正直「しんどい」とも思う。

だがね、オレの言動で誰かが笑顔になるのなら、喜んで水滴になろう。

 

 

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オレは笑顔が持っている底知れぬエネルギーを知っているつもりだ。

それが沢山の人に勇気を齎す事もね。